海底ケーブルの建設費は?FASTERの公表額から費用の範囲を読む

海底ケーブルの費用は、ケーブル名、発表時点、何を含む金額かと一緒に読む必要があります。「1本ならいくら」という共通価格は、この資料からは出せません。日本と米国を結ぶFASTERを例に、公表された数字と、そこからは言えないことを分けます。
FASTERの2014年発表は約3億米ドル
KDDIの共同建設協定の発表は、総建設費を約3億米ドル、当時の換算で約306億円としています。総延長は約9,000kmです。これはFASTERという一つのプロジェクトの建設発表に記載された金額です。
| 数字 | 何を表すか | 読み違えやすい点 |
|---|---|---|
| 約3億米ドル | 2014年に公表した総建設費 | すべての海底ケーブルの標準価格ではない |
| 約306億円 | 同じ発表にある円換算 | 現在の為替で換算した金額ではない |
| 約9,000km | 公表された総延長 | 個々の工区が同じ施工条件という意味ではない |
この円額を距離で単純に割ると、1km当たり約340万円になります。これは当サイトによる平均値の計算であり、ケーブルを1km追加する際の見積単価ではありません。総事業費を割った値には、距離に比例しない設備や作業の費用も含まれ得るためです。
金額の範囲をそろえて比べる
別の案件と比較するときは、海中のケーブルだけか、陸揚設備や伝送装置も含むのか、保守費用は別かを確認します。今回参照した発表から、船の1日当たりの費用や海洋調査費の内訳までは確定できません。
同じ長さでも、分岐の数、陸への接続、工事を行う海域は同じではありません。TeleGeographyの説明でも、経路は地形や漁業・投錨などの危険を考慮して選び、沿岸と深海で保護方法を変えるとしています。深さだけから一律の費用を決めるのは避けます。
建設計画と運用開始を分ける
2014年の資料は建設計画です。NECの完成発表では2016年6月30日の運用開始が示されています。計画時の金額を、完成後に確定した最終決算額と読み替えることはできません。
同じ完成発表で確認できる日本側の陸揚地は、千倉と志摩です。「千葉県に陸揚げ」と聞いても、別のケーブルまで千倉にあるとは限りません。FASTERの図鑑と陸揚地の一覧では、ケーブル名と地点の対応を確かめられます。
費用の記事を読む際は、まず「案件・年・通貨・含まれる工事」をそろえ、その後に距離や設計容量を比べると、数字の大きさだけに引きずられずに済みます。
2026年9月30日訂正:「1本1,000億円」「1km数千万円」「敷設船1日数千万円」の根拠を示せない一般化、全通信が水深8,000mを通る説明、JUPITER等の陸揚地・出資者の混同を撤回しました。
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よくある質問
- 海底ケーブルは1本1,000億円かかるのですか?
- 一律には言えません。FASTERの2014年建設発表は約3億米ドル、当時の換算で約306億円です。案件と費用の範囲を確認する必要があります。
- 総建設費を距離で割れば、1kmの工事単価になりますか?
- 距離当たりの平均は計算できますが、追加工事の見積単価にはなりません。陸揚設備など、距離に比例しない費用を含む可能性があるためです。
出典
- KDDI:FASTER共同建設協定(2014-08-11): 当時公表された約3億米ドル・約306億円の総建設費と約9,000kmの計画。
- NEC:FASTER建設完了(2016-06-29): 千倉・志摩への陸揚げ、2016年6月30日運用開始、6ペア・100Gbps×100波長の初期設計。
- TeleGeography:Submarine Cable FAQ: ケーブルの構造、経路選定、設計容量と使用容量、代替経路について。