国際通信を支える海底ケーブル:海と陸の接続をたどる

海外のサービスを利用するとき、通信経路には海の区間と陸の区間があります。海底ケーブルが大容量でも、端末から目的のサーバーへ届くには、それぞれの区間がつながっている必要があります。地図に描かれた一本の線から、経路全体を考えてみます。
「99%」は何の割合か
ITUのWTPF-26の説明は、海底ケーブルが国際インターネット通信の99%超を運ぶとしています。ここで対象になっているのは国際通信です。
この割合を、日本国内の同じデータセンターへアクセスする通信や、家庭内の端末間通信まで含めた全データに当てはめることはできません。「スマートフォンの通信は無線だから海底ケーブルとは無関係」とも、「どの動画も必ず海を渡る」とも限りません。どこへ接続するかが関わります。
陸揚局は経路の終わりではない
海底ケーブルは海を渡ったところで陸上網へ接続します。そこからデータセンターなどへ運ぶ国内区間を、海底区間と区別して読む必要があります。
アルテリアの2024年7月の発表が分かりやすい例です。同資料は、日本・カナダ間のTopazが2023年にサービスを開始したと説明した上で、高萩陸揚局と首都圏のデータセンターを結ぶ国内の専用線サービスを発表しています。
| 確認する出来事 | Topazの資料での位置付け |
|---|---|
| 海底ケーブル本体のサービス開始 | 2023年 |
| 高萩から首都圏への国内接続の提供発表 | 2024年7月 |
| 個々の利用者の通信速度 | 上記の年だけでは判断できない |
2024年の記事を見つけても、それをケーブル本体の開通年とするのは誤りです。Topazの図鑑では、この違いを明記しています。
同じ県でも陸揚地をまとめない
NTTのJUPITER建設発表は、日本側の志摩・丸山と、国内データセンターへの接続を説明しています。千葉県の地点を一括して「千倉」とすると、個々のケーブルとの対応が崩れます。
陸揚地マップは、公表資料で確認できた地域と接続をたどる入口です。掲載件数は全国の稼働回線の総数ではなく、歴史資料や観測用設備の地域も区分して含めています。
一本の線から確認を広げる
ケーブル名を見つけたら、接続先、開通済みか計画か、国内の接続先、仕様が発表された年の順に確認します。設計容量の大きさだけで、利用者の速度や障害時の継続性まで判断することはできません。
海の経路と陸の経路をつなげて見ると、「新しいケーブルができた」という発表が、通信網のどの部分を変えたのか読み取りやすくなります。
2026年9月30日訂正:国内通信を含む全データが海底を通るという一般化、未確認の容量と切断原因の断定を撤回。海底区間と国内接続、計画と運用を分けて記述しました。
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よくある質問
- 国内の通信も99%が海底ケーブルを通るのですか?
- 引用したITUの説明は国際インターネット通信についてです。国内や家庭内の通信を含むすべてのデータの割合には、そのまま当てはめられません。
- 陸揚局ができればデータセンターまで自動的につながりますか?
- 海底区間と陸揚局から先の国内接続は別に確認する必要があります。Topazの資料でも、ケーブル本体の2023年開始と国内接続の2024年提供発表を区別しています。
出典
- ITU:Resilience of telecommunication/ICTs(WTPF-26): 国際インターネット通信における海底ケーブルと、陸上・衛星を含む通信基盤。
- アルテリア:Topaz向け国内接続(2024-07-02): 2023年開始のTopazと、2024年提供の高萩から首都圏へのバックホールを区別。
- NTT:JUPITER建設発表(2017-10-30): 丸山・志摩の陸揚げ計画と、国内データセンターへの接続・経路変更の設計。