海底ケーブル最新動向:2026年7月の3大ニュース

海底ケーブルは、私たちが日々利用するインターネットやAIの基盤を支える重要なインフラです。2026年7月、このグローバルなデジタル通信網を巡り、マレーシアでの大規模な新ケーブル敷設計画の発表、中国初の国産深海ケーブル敷設船の就航、そして米国におけるセキュリティ強化を目的とした新たなライセンス制度導入と、世界各地で重要な動きが相次ぎました。これらは、情報通信量の爆発的な増加と、それに伴うセキュリティリスクの高まりを受け、各国が自国の通信インフラ整備に本腰を入れている実態を示しています。
マレーシアで約5,582kmの新ネットワーク計画
マレーシアでは、自国のデジタル接続性を大幅に強化する「Sambungan Kabel Dasar Laut MADANI(SALAM)」イニシアチブが発表されました。マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)は、この新規海底ケーブルシステムの事業者登録を開始したのです。このプロジェクトは、ペニンシュラ・マレーシア、サバ、サラワクを海底ケーブルで結びつけ、国内ネットワークのレジリエンス(回復力)と地理的分散性を高めることを目的としています [^1]。
「The Edge Malaysia」によると、この新しいネットワークは約5,582kmに及ぶ4つの海底ケーブルセグメントで構成され、10カ所の陸揚げ局が接続されます [^1]。これにより、災害時などのサービス中断リスクを低減し、より安定した国内通信網を構築できるでしょう。また、同時期にはフランス領ギアナとブラジル、欧州を直接結ぶEllaLinkの「Lum@link」ケーブルの敷設も開始されました。この2,100kmの延長線は、2026年末までのサービス開始を目指し、既存のEllaLink幹線システムに接続されます [^3]。
中国初の深海ケーブル敷設船「天一領航者」が就航
海底ケーブル網の構築と維持には、高度な技術を備えた専門の船舶が不可欠です。2026年7月16日、中国初の国産深海インテリジェントケーブル敷設船「Tianyi Linghangzhe(天一領航者)」が上海で就航し、全システムでの試運転を開始しました [^2]。この船は全長116メートル、幅24メートル、深さ12メートル、満載排水量18,000トンを誇り、深海でのケーブル敷設、保守、オーバーホールを世界規模で実施できる能力を備えています [^2]。
特に注目すべきは、最大8,000トンの海底通信用光ケーブルを積載できる専用ケーブルタンクです [^2]。また、北斗(BeiDou)とGPSのデュアル衛星測位信号システムを搭載し、最先端のインテリジェント測位機能を備えている点も特徴的です [^2]。AIやコンピューティング能力の成長を支える基盤インフラの強化に向けた、中国の技術的な進歩と投資意欲が強く表れた動きと言えます。
AI時代を支える海底ケーブルのセキュリティ対策
デジタル通信の根幹を支える海底ケーブルは、AIを含む大陸間デジタル通信の大部分を担っています。しかし、その物理的な接続点には新たなセキュリティ上の課題が生じていました。これを受け、米国連邦通信委員会(FCC)は2026年7月13日、海底回線終端装置(SLTE)に関する新しいライセンス制度を導入しました [^5]。
SLTEは、海底ケーブルを流れる光信号を電気信号に、またその逆へと変換する、まさに通信の要となる装置です [^5]。従来、光と電気の信号変換の収斂点は主に陸揚げ地点でしたが、現在では内陸のデータセンターへと移動し、物理的な接続点が攻撃に脆弱になっていることが指摘されていました [^5]。今回の新制度では、SLTEのライセンス取得、Team Telecomによる審査、そして所有者や運用者へのセキュリティ義務と報告義務が課せられます [^5]。これは、国家安全保障上の懸念に対応し、AIの発展に不可欠なデータフローの安定性と安全性を確保するための重要な一歩と言えるでしょう。
これらの2026年7月に相次いで報じられた具体的な動きは、マレーシアのレジリエンス強化、中国の技術力向上、そして米国のセキュリティ対策強化という、グローバルなデジタルインフラの未来を形作る方向性を示しています。技術革新と国際的な連携は、AI時代を支える強靭な通信基盤の構築へ、どのように貢献していくのでしょうか。
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よくある質問
- AIの発展に海底ケーブルが重要とされるのはなぜですか?
- AIの発展には、世界中の膨大なデータを迅速かつ安定してやり取りする能力が不可欠です。海底ケーブルは、大陸間のデジタル通信の大部分を担っており、AIが学習や推論を行うためのデータ転送の基盤となっています。
- 海底ケーブルはどのように敷設されるのですか?
- 海底ケーブルは、専用のケーブル敷設船によって敷設されます。船は数千トンものケーブルを搭載し、精密な測位システムとロボット技術を駆使しながら、海底にケーブルを設置していきます。深海では無人潜水機も活用されます。
- 海底ケーブルのセキュリティ対策が強化されている理由は何ですか?
- 海底ケーブルは国の重要なインフラであり、通信の要となる装置が内陸のデータセンターに移動したことで、物理的な接続点がサイバー攻撃や物理的攻撃の標的となるリスクが高まりました。そのため、通信の安定性と国家安全保障の観点からセキュリティ強化が急務となっています。
出典
- SubTel Forum: MCMC Opens Registration for Malaysia’s SALAM Cable
- SubTel Forum: China Commissions Tianyi Linghangzhe Cable Ship
- SubTel Forum: EllaLink Begins Lum@link Marine Installation
- SubTel Forum: FCC Adopts New Submarine Cable Licensing Regime