海底ケーブルはなぜ切れる?障害原因と統計の読み方

海底ケーブルの障害には、人の活動、自然現象、設備の故障など複数の原因があります。一つの映像やニュースだけを見て、すべての障害を同じ原因で説明することはできません。まず集計の対象と、個々の事故について確認された事実を分けます。
漁業と投錨が大きな割合を占める
ICPCが2014年に公表した資料は、参照した障害データについて、漁業・投錨の割合を65〜75%としています。自然現象、部品の故障、原因不明の区分もあり、「人の活動以外はすべて地震」とは整理できません。
この数値は、その資料が扱った記録の傾向です。特定の海域の最新の事故について原因を確定するものでも、現在の全ケーブルを同じ割合で分類したものでもありません。
| 原因の区分 | 記事を読む際の確認点 |
|---|---|
| 漁業・投錨など | 接触や損傷の調査結果があるか |
| 地震・海底地滑りなど | 発生時刻と海域、設備への影響が確認されているか |
| 部品の故障など | 物理的な切断と、装置の故障が区別されているか |
| 原因不明 | 推測を確定した原因として扱っていないか |
サメの映像と、障害の統計は別
同じICPC資料は、サメがケーブルに噛みつく映像の存在と、実際の通信障害の記録を区別しています。資料にある2008〜2013年の分析では、サメに起因する障害は記録されていませんでした。
期間を外して「永久にゼロ」と言うことはできません。また、噛みつく理由を電磁場や好奇心と断定する根拠として、この映像を使うこともできません。目立つ映像ほど、撮影された行動と、調査で確定した原因を分けて読む必要があります。
日本でも複数箇所の同時障害が起きた
KDDIによる東日本大震災の復旧記録は、千葉・茨城沖で20カ所以上の断絶が発生したと説明しています。土砂に埋もれたケーブルの回収などが復旧を難しくしました。
ここでの「20カ所」は障害箇所の数で、「20本の別々のケーブル」という意味ではありません。ケーブルの本数、壊れた箇所、影響を受けたサービスを分けて数えると、災害の規模を誤読しにくくなります。
原因の調査と、通信の復旧を分ける
事故か故意かは、損傷の状況や調査結果を踏まえる必要があります。発生海域の政治的な緊張だけで、特定の国・組織による破壊と決めることはできません。
同時に、原因が確定する時期と通信が戻る時期は一致しません。別経路への切替、船の手配、現場の修理にはそれぞれ条件があります。切断時の影響と修理の記事では、この段階の違いを整理しています。
2026年9月30日訂正:光ファイバー1本200Tbps、総延長140万kmを地球100周超とする誤計算、馬祖の切断時期・回数や故意の断定を撤回。ROADMがあれば必ず瞬時に迂回できるという説明も訂正しました。
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よくある質問
- 海底ケーブルの故障はすべて船が原因ですか?
- いいえ。ICPCの2014年資料では漁業・投錨が大きな割合を占めますが、自然現象、部品故障、原因不明の区分もあります。個々の事故の原因は調査結果を確認します。
- サメが噛む映像があれば、通信障害も起きたと言えますか?
- 映像と障害の記録は別です。ICPCが示した2008〜2013年の分析ではサメによる障害を記録しておらず、映像だけで障害の発生や噛む動機を確定することはできません。
出典
- ICPC:Shark Bites and Cable Faults(2014年、PDF): 調査期間別の魚類・サメ被害、漁業・投錨とその他の障害要因。
- KDDI:東日本大震災の海底ケーブル復旧(2026-03-06): 2011年の障害、船と陸側の調整、回収・試験・接続と修理期間。