海底ケーブルがAI需要を牽引:豪で400Tbps級稼働、アジアで1.5億ドル投資加速

海底ケーブルがAI需要を牽引:豪で400Tbps級稼働、アジアで1.5億ドル投資加速

2026年6月30日、オーストラリアの通信事業者SUBCOは、シドニー、メルボルン、アデレード、パースを結ぶSMAP海底ケーブルシステムを稼働させた。これは、人工知能(AI)をはじめとする爆発的なデータ需要増に対応するため、世界各地で加速する海底通信インフラ整備の象徴的な動きだ。オーストラリアでは400Tbps超の容量を持つケーブルが稼働し、アジアではインドとシンガポール間で1億5200万ドルの新たな投資が進行中である。

豪州横断SMAPハイパーケーブル、容量400Tbps超を実現

SUBCOが稼働させたSMAP海底ケーブルは、オーストラリア国内の主要都市間を接続する全長5,000kmの長大なシステムだ。これはオーストラリアにおける横断的な通信容量増加として、約25年ぶりの最大規模を誇る取り組みとなる。

16ファイバーペアを有し、総容量が400Tbps以上という設計は、世界最大級の海底ケーブルシステムの一つに数えられる [^5]。特に、メルボルンとアデレードに初めて海底ケーブルが陸揚げされた点は重要だ。これにより、通信事業者やクラウド企業は、これまで以上に多様なルート選択が可能となり、ネットワークの回復力(レジリエンス)が飛躍的に向上する。このケーブルは完全装甲(フルアーマード)で敷設され、空間分割多重化(SDM)技術を採用することで、クラウドインフラやAIコンピューティング関連の大規模トラフィック成長を力強く支えることを目的としている [^5]。

AIハブを繋ぐ、インド・シンガポール間の1.5億ドル投資

アジア地域でも、AI需要を背景とした海底ケーブルへの大規模投資が進む。2026年6月30日、タタ・コミュニケーションズはインドとシンガポール間の海底ケーブルインフラ拡張に1億5200万ドルを投資すると発表した [^1]。

この投資の狙いは、インドのAIハブとして台頭するムンバイとチェンナイ、そしてアジア主要クラウド・AIエコシステムであるシンガポール間を結ぶことで、データセンターやAI主導サービスの帯域幅需要増に対応することにある。同社はムンバイ・シンガポール間の新海底ケーブルシステムを統合するほか、チェンナイ・シンガポール間の別システムにもコンソーシアムメンバーとして投資する計画だ。チェンナイ・シンガポールシステムは2029年第4四半期にサービスを開始する予定で、インドと東南アジア、さらにはグローバル市場を結ぶ重要なデジタル回廊になる見込みである [^1]。タタ・コミュニケーションズの既存の地上光ファイバー網や国内100以上のデータセンターとの接続も強化され、低遅延接続と冗長性が確保される。

AIが加速させるデータ需要と海底ケーブルの未来

これらの大規模投資が相次ぐ背景には、人工知能(AI)の爆発的な成長があるのは明らかだ。AIクエリやモデル学習、リアルタイム推論といった処理は膨大なデータを生み出し、既存のデータセンターインフラをその限界まで押し上げている [^4]。データセンター間の通信、特に国境を越えた通信において、海底ケーブルは大容量かつ低遅延の伝送路として不可欠な存在である。

現在、インターネット上のデータトラフィックの99%以上を運ぶ海底ケーブルは、AI時代においてその重要性をさらに増している。データの生成と消費がグローバル規模で拡大する現代において、海底ケーブルは国際的な経済活動やイノベーションを支える生命線と言えるだろう。

無人水上艇(USV)が切り拓く、敷設・保守の効率化

海底ケーブルの敷設や保守は、その過酷な海洋環境から極めて高度な技術と手間を要する作業だ。しかし、新たな技術の導入により、その効率化と安全性向上が図られつつある。

OMSグループは2026年7月2日、無人水上艇(USV)「USV Elite」の運用者訓練を完了したと発表した [^3]。2週間にわたるこの集中訓練は、自律測量作業の商業展開に向けた重要な一歩となる。高度な操縦やミッション管理、通信、機械・電子工学、測量データ取得といった包括的な内容がカバーされ、将来的な敷設・保守作業の安全性向上とコスト削減に寄与することが期待される。

AIをはじめとするデジタル技術の進化は止まることなく、これらを支える海底ケーブルは今後もグローバルなデータ流通の生命線として、技術革新と積極的な投資が続くこととなるだろう。海の下に張り巡らされた見えないインフラが、私たちのデジタル社会の基盤をより強固なものにする姿は、未来に向けて一層明確になる。

この記事は信頼性の高い業界情報源に基づき作成し、編集部が内容を確認・監修しています。お気づきの点はお問い合わせよりお知らせください。

よくある質問

海底ケーブルはなぜ今、これほど重要視されているのですか?
人工知能(AI)の急速な発展により、膨大なデータが生成・処理されるようになり、データセンター間の大容量かつ低遅延な通信が必須となっているためです。インターネットトラフィックの99%以上を運ぶ海底ケーブルは、このデジタル需要に応える基盤として不可欠です。
海底ケーブルが切れることはありますか?切れたらどうなりますか?
自然災害(地震など)や漁船の網、船舶の錨などにより切れることがあります。通常、主要ルートには複数のケーブルが敷設されているため、一本が切れてもすぐに全体が不通になることは稀ですが、通信速度の低下や一部サービスの遅延が発生する可能性があります。
海底ケーブルはどのようにして敷設されるのですか?
特殊なケーブル敷設船が、陸揚げ局から海中にケーブルを伸ばし、海底をたどりながら目的地まで敷設します。深海ではロボットやGPS技術を駆使して精密に設置され、浅瀬ではケーブルを保護するために海底に埋設されることもあります。

出典

  • Subtel Forum: Tata Communications to Invest USD 152 Million in Subsea Cable Systems
  • Subtel Forum: OMS Group Completes USV Elite Operator Training for Autonomous Survey Operations
  • Telegeography: AI’s Impact on Data Center Deployments and Operations
  • Subtel Forum: SUBCO Launches Australia’s SMAP Hypercable
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