海底ケーブル局、モーリタニアで工事46%完了
国際データ通信の99%以上を担う海底ケーブル網で、大西洋を挟んだ二つの動きが同時に走り出した。アフリカ北西部モーリタニアでは新しい陸揚げ局の建設が全体の46%まで進み、欧州側の玄関口ポルトガルではデータセンター大手が拠点を確保。いずれも欧州・アフリカ・南米を結ぶ通信路の速度と信頼性を底上げする布石である。
## ヌアディブの陸揚げ局、2027年初頭に稼働へ
モーリタニア北部の港湾都市ヌアディブで、EllaLink海底ケーブルの陸揚げ局が建設されている。運営するEllaLink社とモーリタニア政府は、工事の進捗が全体の46%に達したと発表した。両者は2026年末までに工事を終え、2027年第1四半期のサービス開始を目指すことで合意している。
陸揚げ局とは、海底を渡ってきた光ファイバーを陸上の通信網につなぐ中継施設だ。ここがなければ、どれだけ大容量のケーブルを敷いても通信は国内に届かない。モーリタニアにとって、この一棟が国際接続の生命線になる。
## 砂漠の国がデジタル拠点を急ぐ理由
国土の大半を砂漠が占めるモーリタニアは、これまで国際通信を限られた経路に頼ってきた。陸揚げ局が稼働すれば、自前の大容量ルートを手にすることになる。政府がこのプロジェクトをデジタル変革の柱に据えるのは、通信容量の不足が産業誘致や行政サービスの足かせになってきたからにほかならない。
港湾都市ヌアディブを選んだ点も理にかなう。漁業と物流の拠点であり、電力や用地を確保しやすい。海底ケーブルは陸揚げ地点の安定性が運用コストを大きく左右する。
## ポルトガルが握る「南米への唯一の扉」
欧州側では、データセンター大手のDigital Realtyがリスボンの施設を買収し、ポルトガル市場への参入を表明した。ポルトガルは南米へ直接つながる海底ケーブルを持つ欧州で唯一の国であり、大西洋のデータ交通における要衝として存在感を増している。
買収した施設は複数の海底ケーブル陸揚げ地点に近い。欧州・アフリカ・米州の三大陸を最短で結ぶ低遅延ルートを、自社のデータセンターと一体で握る狙いがうかがえる。
## ケーブルとデータセンターが一体化する時代
陸揚げ地点のそばにデータセンターを置けば、信号を遠くまで運ぶ前に処理でき、遅延も障害リスクも下げられる。Digital Realtyのリスボン進出は、その典型例だ。
大西洋の通信地図は、欧州と北米を結ぶ古典的な軸から、アフリカと南米を巻き込む南向きの広がりへと姿を変えつつある。モーリタニアの一棟とリスボンの一施設は、その地殻変動を映す小さな、しかし確かな兆候である。
この記事は信頼性の高い業界情報源に基づき作成し、編集部が内容を確認・監修しています。お気づきの点はお問い合わせよりお知らせください。
出典
- SubTel Forum: モーリタニアのヌアディブにあるEllaLink海底ケーブル陸揚げ局が46%の完成度に達したと報告された。工事は2026年末までに完了し、2027年第1四半期からのサービス開始を目指している。
- SubTel Forum: データセンター大手のDigital Realtyは、リスボンのデータセンター施設を買収し、ポルトガル市場に参入した。この動きは、海底ケーブル陸揚げ地点に近いインフラを確保し、欧州、アフリカ、米大陸間の低遅延接続を強化することを目的としている。