海底ケーブル拡張競争が加速 Google新設、アジアは400G化へ

海底ケーブル拡張競争が加速 Google新設、アジアは400G化へ
世界の国際通信の99%を支える海底ケーブル網で、大規模な新設と性能向上が同時に加速している。インドネシアでは既存ケーブルが400G級の高速通信へアップグレードされ、Googleはバミューダを拠点とする大西洋の新たな大動脈を計画。デジタル社会の根幹をなすインフラが、世界各地で次のステージへと進化を遂げようとしているのだ。 ## アジアで進む400Gへのアップグレード インドネシアの通信事業者Biznetは2026年5月、同社が運用する海底ケーブル「Biznet Nusantara Cable System-1 (BNCS-1)」の国際区間をアップグレードしたと発表した。このケーブルはジャワ島、スマトラ島、バンカ島などを結ぶインドネシアのデジタル化を支える重要な基盤だ。今回の更新では、米Ciena社の最新光伝送技術「WaveLogic 5 Extreme (WL5e)」が導入され、400ギガビット毎秒(400G)の高速サービス提供が可能になったという。 400Gという通信速度は、従来の100Gサービスに比べて単純計算で4倍の容量を持つ。動画配信やクラウドサービスの利用が急増する中で、より高速で信頼性の高いインターネット接続を実現するための重要な一手だ。Biznetの社長Adi Kusma氏は、「絶え間なく変化する帯域幅の需要に応え、素晴らしい顧客デジタル体験を提供する」と語っており、今回の投資がインドネシアのデジタル経済圏全体の成長を後押しすることは間違いない。 ## Googleが主導する大西洋の新ルート「NUVEM」と「SOL」 大西洋では、巨大IT企業Googleが主導する新たな海底ケーブル計画が具体化している。バミューダの規制当局は2026年5月25日、Google傘下のSkipjack Infrastructure Limitedが申請した2本の新設海底ケーブル「NUVEM」と「SOL」に関するライセンス付与手続きを開始したことを公表した。両ケーブルはバミューダのAnnie’s Bayに陸揚げされる計画だ。 この動きは、大西洋を横断する通信ルートの多様化と強靭化を狙ったもの。現在、北米と欧州を結ぶケーブルの多くは、特定のルートに集中している。地政学的リスクや自然災害への備えとして、バミューダを経由する新たなルートを確保することは、Google自身のクラウドサービスや各種事業の安定運用に不可欠。それだけでなく、大西洋全体の通信ネットワークの信頼性を高める戦略的価値を持つ。 NUVEMは、すでにポルトガル、バミューダ、米国を結ぶケーブルとして発表されており、今回の申請は計画が順調に進んでいることを示唆する。巨大なデータを世界中のデータセンター間で伝送する必要があるGoogleにとって、自らインフラを保有することは、もはや当然の戦略なのである。 ## 地政学の要衝、中東で広がる「GreenMed」回廊 一方、欧州とアジアを結ぶ要衝である中東でも、新たな動きが見られる。イタリアの通信事業者Sparkleは、地中海から中東へ至る海底ケーブル「GreenMed」をヨルダンまで延伸するため、現地の通信ハブ企業などと覚書(MoU)を締結した。この計画は、GreenMedをヨルダンの陸上ファイバーネットワークと接続し、欧州から中東、さらにアジアへと至る新たな「デジタル回廊」を構築するものだ。 ヨルダンは紅海に面するアカバ港にデジタルハブを有し、すでに複数の国際ケーブルが陸揚げされる重要拠点となっている。特に近年、スエズ運河や紅海周辺の地政学的緊張が高まる中、通信ルートの代替路を確保する動きは活発化している。Sparkleの計画は、欧州とアジア間の通信における冗長性を確保し、より安定した接続を提供する点で注目すべきだろう。 ## データセンターと一体化する次世代インフラ これらの世界各地での動きが示すのは、単にケーブルを敷設・増強するだけではない、次世代のデジタルインフラ構築へのシフトだ。海底ケーブルの陸揚げ局は、今や巨大なデータセンターやクラウドへの接続点と一体化しつつある。ヨルダンの「Aqaba Digital Hub」のように、ケーブル、データセンター、そして地域内のネットワーク接続点を統合したプラットフォームが、今後のデジタルインフラの主流になっていく。 生成AIの普及、あらゆるモノがネットにつながるIoT時代の本格到来を前に、世界のデータ流通量は爆発的に増加し続ける。その膨大な情報を遅延なく、安定して運びきるために、海底ケーブル網の進化は止まらない。今回報じられた各地のプロジェクトは、その最前線で繰り広げられる静かな、しかし熾烈な競争の一端に他ならないのだ。

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よくある質問

海底ケーブルが切れたらどうなるのですか?
世界の通信網は複数のケーブルで冗長化されているため、1本が切れても通信は自動的に別のルートへ迂回します。そのため直ちに通信が途絶することはありませんが、一部地域で通信速度の低下や遅延が発生する可能性があります。
海底ケーブルの敷設にはどれくらいの費用がかかりますか?
ルートや容量により大きく異なり、太平洋を横断するような長距離ケーブルでは数百億円から1000億円以上に達することもあります。ケーブル本体だけでなく、敷設船の費用や各地の陸揚げ局の建設費も含まれます。
なぜGoogleのようなIT企業が自ら海底ケーブルを敷設するのですか?
自社のクラウドサービスなどで発生する膨大なデータを、世界中のデータセンター間で安定かつ低コストでやり取りするためです。自社でインフラを保有することで、将来の需要増にも柔軟に対応でき、通信品質をコントロールできるという戦略的メリットがあります。

出典

  • SubTel Forum: Biznet, an integrated digital infrastructure company in Indonesia, has deployed Ciena’s WaveLogic 5 Extreme (WL5e) on the international link of its submarine cable Biznet Nusantara Cable System-1 (BNCS-1), providing inter-island connectivity across Java, Sumatra and Bangka Islands.
  • SubTel Forum: The company this month announced it has signed a Memorandum of Understanding with NaiTel, the telecom arm of Aqaba Digital Hub, and iLevant Ltd, to extend the GreenMed submarine cable system through the Hashemite Kingdom of Jordan.
  • SubTel Forum: The Regulatory Authority of Bermuda (Authority) has received two submarine cable licence applications... The applicant for the two submarine cable licences (to land and operate a submarine cable) is Skipjack Infrastructure Limited (owned by Google LLC) for the NUVEM and SOL submarine cable systems.
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