海底ケーブルが世代交代、Google5億ドル投資
まず読む基礎解説
1988年に敷設された世界初の大西洋横断光ファイバーケーブル「TAT-8」が今、海底から回収されている。全長約6,000kmにわたるこの歴史的インフラが撤去される一方、世界各地では次世代ケーブルの建設が相次いでいる。
## Google、ドミニカ共和国に5億ドルのデジタルハブを建設
Googleは中南米戦略の一環として、ドミニカ共和国に5億ドルを投じる計画を発表した。米国との間に海底ケーブルを含む国際デジタルハブを構築するもので、2027年初頭の完成を目指す。AIやクラウドインフラの展開において、同国を中南米の戦略拠点として位置づけている。
カリブ海では同時期、別の動きもあった。カリフォルニア州の離島・カタリナ島のブロードバンド整備を目的に、AVX Networksが主導するケーブルプロジェクトへ3,750万ドルの助成金が交付された。約3,500人が暮らす小規模な島嶼部への投資は、デジタルデバイド解消に向けた動きが具体化しつつあることを示している。
## 太平洋初のSMART搭載ケーブル「Tamtam」、全長411kmで防災機能も
アジア開発銀行(ADB)は、バヌアツとニューカレドニアを結ぶ全長411kmの「Tamtam」ケーブル建設への融資を決定した。このケーブルが注目されるのは、SMART(Science Monitoring and Reliable Telecommunications)センサーを太平洋地域で初めて搭載する点だ。地震・津波の早期警戒に活用できるセンサーを通信ケーブルに組み込む技術は海底インフラの新潮流であり、Tamtamはその先駆けとなる。
## アドリア海横断の新ルート「GreenMed」で欧州—中東間の冗長性を強化
イタリアのSparkleが建設を発表した「GreenMed」は、ヨーロッパと中東を結ぶ次世代ケーブルだ。既存ルートとは異なるアドリア海横断経路を採用しており、接続の冗長性向上と低遅延化を両立する設計となっている。2028年後半の一部サービス開始を予定している。
## TAT-8、36年の役割を終えて解体——回収素材はリサイクルへ
1988年の敷設当時、TAT-8は通信史に残る技術革新だった。それまでの銅線同軸ケーブルに代わり、光ファイバーで初めて大西洋横断を実現。現代の海底通信インフラの原型を築いた存在と言える。稼働から約36年を経た今、全長6,000kmが海底から引き上げられ、回収された銅や光ファイバーはリサイクルに回される予定だ。
## AI時代の通信需要が、ケーブルの「世代交代」を加速させる
海底ケーブルの設計寿命は一般に約25年とされる。だがAI時代のデータトラフィックは従来の予測をはるかに上回るペースで急増しており、新設ケーブルへの要求仕様も高度化している。Googleの大規模投資、ADBの太平洋向け融資、Sparkleの欧州—中東ルート整備——これらが同時進行する背景には、単なる老朽化対応を超えた、通信インフラの根本的な再設計という動きがある。
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出典
- SubTel Forum / BeBeez International: Googleがドミニカ共和国に5億ドルを投資し、デジタルハブと海底ケーブルを建設。2027年初頭完成予定。
- SubTel Forum / Mezha: 1988年に敷設された初の大西洋横断光ファイバーケーブル「TAT-8」が海底から回収・リサイクルされている。
- SubTel Forum / Asian Development Bank: アジア開発銀行が、バヌアツとニューカレドニアを結ぶ新ケーブル「Tamtam」への融資を決定。災害監視用のSMARTセンサーを搭載する。
- SubTel Forum / The Fast Mode: Sparkle社が、ヨーロッパと中東を結ぶ次世代海底ケーブル「GreenMed」の建設を発表。2028年後半にサービス開始予定。
- SubTel Forum / AVX Networks Press Release: カリフォルニア州が、カタリナ島の高速インターネット化のため、海底ケーブル敷設プロジェクトに3750万ドルの助成金を授与。