海底ケーブルの長さと深さ — 世界最長45,000km・最深8,000mの記録
基礎から押さえる
海底ケーブルの世界は桁違いのスケールだ。地球から月までの距離の 3 倍以上の総延長、水圧 800 気圧を超える深海への敷設。「長さ」と「深さ」の 2 つの軸から、その驚くべき数字を掘り下げる。
世界最長の海底ケーブル TOP 5
海底ケーブルの「長さ」は、分岐(ブランチ)を含めた総延長で計測される。
- 2Africa: 約 45,000km — Meta(旧 Facebook)主導。アフリカ大陸を一周し、ヨーロッパ・中東にも分岐する世界最長ケーブル。2023〜2024 年に順次運用開始。33 か国に陸揚げ
- SEA-ME-WE 3: 約 39,000km — 1999 年完成。東南アジア〜中東〜西ヨーロッパを結び、33 か国に陸揚げ。分岐を含めた総延長で世界有数
- FLAG / FALCON: 約 28,000km — 1997 年完成の先駆的ケーブル。英国〜日本を結ぶグローバルルート
- SEA-ME-WE 6: 約 21,000km — 2025 年運用開始。シンガポールからフランスまで、アジア〜中東〜ヨーロッパの最新ルート
- Asia-America Gateway (AAG): 約 20,000km — 東南アジアと米国西海岸を結ぶ太平洋横断ケーブル
単一ルート(分岐なし)の最長は太平洋横断ケーブルで、日本〜米国間で約 9,000〜12,000km。東京からロサンゼルスまでの直線距離(約 8,800km)よりも、海底地形を避けるための迂回で長くなる。
海底ケーブルの敷設深度
ケーブルは海の深さに応じて全く異なる条件下に置かれる。深海環境の過酷さが、ケーブル設計に直接影響する。
沿岸部(0〜200m)— 最も危険なゾーン
太陽光が届く浅海域。漁業が盛んで、底引き網やアンカーによるケーブル損傷の 約 70% がこの水深帯で発生する。そのため、ケーブルは海底に溝を掘って 1〜3m の深さに埋設し、鋼線アーマーで物理的に保護する。ケーブル直径は約 50mm、重さは 1m あたり約 10kg。
大陸斜面(200〜1,000m)
光が薄れる「トワイライトゾーン」。人間の活動による脅威は減るが、海底地形が急峻になる区間。ケーブルはシングルアーマー(鋼線 1 層)で保護。
深海平原(1,000〜6,000m)— ケーブルの主戦場
大洋の平均水深(約 3,800m)を含む区間。太平洋横断ケーブルの大部分はこの水深帯を走る。脅威が少ないため、ケーブルは外装アーマーを省略した軽量タイプ(直径約 17mm、1m あたり 1.4kg)で、海底面にそのまま敷設される。水圧は 100〜600 気圧。
海溝(6,000〜8,000m 超)— 極限の環境
日本列島の東には日本海溝(最深 8,020m)が南北に走っている。太平洋横断ケーブルの多くはこの海溝を横断する必要がある。水圧は 800 気圧以上——1cm² に軽自動車 1 台分の重さがかかる。
海溝を横断するケーブルは V 字型の急斜面に沿って敷設される。地震による海底地すべりのリスクが高いため、ルート選定には詳細な海底地質調査が行われる。世界で最も深い敷設記録は 水深 8,000m 超 で、日本近海が舞台だ。
日本関連ケーブルのスケール
日本はアジア最大級の海底ケーブルハブで、30 本以上のケーブルが接続されている。代表的なケーブルの長さ:
- JUNO(日米間): 約 10,500km、容量 350Tbps
- Topaz(日加間): 約 10,000km、次世代SDM 技術を採用
- SJC2(日本〜東南アジア〜シンガポール): 約 10,500km
- RJCN(日本〜ロシア): 約 1,800km(日本海ルート)
日本から米国西海岸までのケーブルは、日本海溝を超え、太平洋の深海平原を横断し、ハワイ付近で分岐し、北米大陸棚に到達する。この旅路の中で水深 0m から 8,000m 超まで、あらゆる深度帯を通過するのだ。
すべてのケーブルを繋げると
世界で運用中の海底ケーブルは 500 本以上、総延長は 140 万 km 以上。この長さは:
- 地球 1 周(約 40,000km)の 35 倍
- 地球から月(約 384,400km)までの距離の 約 3.6 倍
- 東京〜ニューヨーク間(約 10,800km)を 約 130 往復
そしてこの数字は、AI 時代の需要爆発で毎年急速に伸びている。2030 年には総延長 200 万 km 超 に達するという予測もある。人類が海の底に築いた通信網は、まさに地球規模のインフラなのだ。
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出典
- TeleGeography: TeleGeography Submarine Cable Map