海底ケーブルの構造と容量:太さ・光ファイバー・ペアの違い

ケーブルの太さと通信容量は、同じものを測る数字ではありません。外径は保護材まで含む大きさで、容量は光の信号で送れる情報量です。さらに、光ファイバー1本、2本で一組のペア、複数ペアを収めたケーブル全体を区別する必要があります。
外側の保護と、内側の伝送路
TeleGeographyのFAQは、光を運ぶ細いガラスのファイバーを保護層で包み、岸に近い区間では保護を厚くすると説明しています。海底ケーブルの外径を一律17mmと決めることはできません。
保護が厚いから、その区間だけ通信速度が上がるという関係でもありません。外側は設置環境に耐えるための構造であり、伝送能力を見るにはファイバーや伝送装置の仕様を確認します。
FASTERの60Tbpsを分解する
NECの2016年の完成発表は、FASTERの初期設計容量を次の組み合わせで説明しています。
100Gbps × 100波長 × 6ファイバーペア = 60,000Gbps = 60Tbps
ここでは1Tbpsを1,000Gbpsとして換算しています。単位を合わせると、1波長の速度、波長を束ねた値、ケーブルシステム全体の値が混ざらずに読めます。
| 単位 | 確認する対象 |
|---|---|
| 光ファイバー1本 | 個々の光の伝送路 |
| ファイバーペア | 2本を一組として数えたもの |
| 波長当たりの速度 | 一つの光信号の伝送速度 |
| システムの設計容量 | 公表された構成を合わせた容量 |
この60Tbpsは、利用者一人の回線速度でも、一本のファイバーの値でもありません。発表時の設計仕様であって、現在実際に流れている通信量を測った値とも異なります。
データ量への換算でも桁を確かめる
映画の本数に直すには、作品一つのデータ量と、bitかbyteかをそろえなければなりません。仮に200Tbpsを50Gbitで割るなら、計算は200,000 ÷ 50 = 4,000本毎秒です。これは単位の計算例で、特定のケーブルの性能を示す値ではありません。旧稿の400万本という換算は誤りでした。
保護の話と故障原因の話を分ける
ICPCの2014年の資料は、サメを含む魚による損傷の歴史を調べ、当該資料が扱う2008〜2013年の分析ではサメによる障害を記録しなかったとしています。これを「サメは絶対に噛まない」と読み替えることもできません。映像で噛む行動を見ることと、通信障害の原因として頻度を評価することは別です。
仕様を読むときは、数字の大きさに加えて対象と単位を確認してください。用語集とケーブル図鑑を行き来すると、同じ単位で比較しやすくなります。
2026年9月30日訂正:一律17mm、光ファイバー1本200Tbps、映画400万本分という記述と、裏付けのない盗聴史・サメが噛む動機の断定を撤回しました。
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よくある質問
- 海底ケーブルはどれも直径17mmですか?
- いいえ。構造や保護方法で外径は異なります。岸に近い区間では保護を厚くすることがあり、ファイバー自体の太さとも区別が必要です。
- FASTERの60Tbpsは光ファイバー1本の速度ですか?
- いいえ。NECの2016年発表では、100Gbps×100波長×6ファイバーペアのシステム全体の初期設計容量です。
出典
- TeleGeography:Submarine Cable FAQ: ケーブルの構造、経路選定、設計容量と使用容量、代替経路について。
- NEC:FASTER建設完了(2016-06-29): 千倉・志摩への陸揚げ、2016年6月30日運用開始、6ペア・100Gbps×100波長の初期設計。
- ICPC:Shark Bites and Cable Faults(2014年、PDF): 調査期間別の魚類・サメ被害、漁業・投錨とその他の障害要因。