384Tbps、Google海底ケーブル大西洋横断
2026年5月、Googleの大西洋横断海底ケーブル「Nuvem」が米サウスカロライナ州マートルビーチに陸揚げされた。全長約7,000km、総容量は毎秒384テラビット。同じ月、台湾沖では通信ケーブルの切断事故が起き、中東ではケーブルへの「許可制」構想が表面化した。世界の通信を支える海底の細い管をめぐり、増設と分断が同時進行している。
## Google新ケーブル「Nuvem」が384Tbpsで結ぶ米国とポルトガル
「Nuvem」はポルトガル語で「雲」を意味する。16対の光ファイバーで構成され、米国とポルトガルを結ぶ全長約7,000kmのケーブルだ。2023年9月に計画が発表され、2026年後半の運用開始を予定している。
かつて国際海底ケーブルは、複数の通信事業者が出資するコンソーシアム方式で建設するのが常識だった。その図式を崩したのがGoogleやMetaなどのハイパースケーラーである。自社クラウドとデータセンター間で動く膨大なデータを安定して運ぶため、回線を他社任せにせず自前で握る——Nuvemはその戦略の延長線上にある。陸揚げ局の運用をデータセンター事業者DC Bloxが担う点にも、建設主体の変化がにじむ。
## 淡水から23.6km地点で切れた台馬2号
台湾デジタル発展部は2026年5月、台湾本島と馬祖島を結ぶ海底ケーブル「台馬2号」の修理完了を発表した。切断が起きたのは同年3月7日。淡水の陸揚げ局からわずか23.6kmの海中で、ケーブルは完全に断たれていた。
復旧を担ったのは中華電信である。切断の主因は漁船の底引き網や船の錨であり、決して珍しい事故ではない。ただし接続ルートが限られる離島では、一本の断線がそのまま生活と経済の麻痺に直結する。冗長化、つまり予備ルートの確保がいかに重い課題か。この事故は静かに突きつけた。
## ホルムズ海峡に「許可制」、通信路を握る思惑
イランの革命防衛隊が、ホルムズ海峡を通るインターネットケーブルに許可システムを導入する可能性を示唆した。この海峡の海底には、アジア・アフリカ・欧州を結ぶ「AAE-1」や、湾岸とインドをつなぐ「Falcon」が走る。金融取引から政府通信まで、桁違いのデータが日々この隘路を通過している。
通信分析企業TeleGeographyの研究者は、主要な国際回線の多くが迂回ルートを確保済みで、世界全体への影響は限定的だと見る。それでも、特定国が国際通信の咽喉部を支配下に置こうとする動き自体が、開かれたインターネットへの脅威となる。
## 5週間の孤立を経て、トンガが2本目を手にした
南太平洋のトンガは2026年5月、2本目の国際海底ケーブル「Hawaiki Cable Branch System」の完成を祝った。資金を出したのはオーストラリアとニュージーランドだ。
背景には苦い記憶がある。2022年1月の海底火山噴火と津波で、当時唯一の国際ケーブルが切断され、トンガは5週間にわたり世界から孤立した。たった一本に国全体の通信を委ねる危うさを、この島国は身をもって知っている。
## 50隻の作業船が支える「見えない大動脈」
世界には現在500本を超える海底ケーブルが張り巡らされ、総延長は地球30周分に達する。これを敷設・修理できるケーブルシップは、世界に約50隻しか存在しない。Nuvemのような増設が続く裏で、一隻の作業船が一本の断線へ向かうたび、現代社会の通信が綱渡りの上に成り立っていると気づかされる。増やすことと、守ること。海底ケーブルの本当の競争は、容量という数字だけでは測れない領域へ移りつつある。
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よくある質問
- 海底ケーブルが切れたらインターネットは使えなくなりますか?
- 1本のケーブルが切れても、多くの場合、他の複数の迂回ルートを使って通信が自動的に維持されるため、すぐに使えなくなることは稀です。しかし、トンガの事例のようにルートが1本しかない地域では、通信が完全に麻痺するリスクがあります。
- 海底ケーブルは誰が所有し、どのように修理するのですか?
- かつては通信事業者の共同事業が主流でしたが、近年はGoogleなどの巨大IT企業が自ら投資・所有するケースが増えています。修理は「ケーブルシップ」と呼ばれる専門の船が、遠隔操作の水中ロボットなどを使って行いますが、天候や船の確保状況により数週間から数ヶ月かかることもあります。
- 海底ケーブルの寿命はどのくらいですか?
- 設計上の物理的な寿命は一般的に約25年とされています。ただし、技術革新のスピードが速いため、物理的に壊れる前に通信容量が時代遅れとなり、より大容量の新しいケーブルに置き換えられることが少なくありません。
出典
- SubTel Forum: Google’s Nuvem subsea cable linking the US and Portugal has landed in South Carolina. The ~7,000km (4,349 miles) cable will feature 16 fiber pairs and offer a total of 384Tbps. It is due to enter service later this year.
- SubTel Forum: The Ministry of Digital Development announced today that the Taima-2 submarine cable previously experienced a complete outage at 23.6 kilometers from Shalun. Chunghwa Telecom reported that the connection has been completed... Repairs could be completed as early as November 30.
- SubTel Forum: Iran’s Revolutionary Guards on Monday threatened to place internet fibre-optic cables passing through the Strait of Hormuz under a “permit system”... Among the main cables crossing the Strait is a branch of the AAE-1 (Asia-Africa-Europe 1) cable... The Falcon and Gulf Bridge cables also pass through the Strait
- SubTel Forum: Australia and New Zealand joined the Kingdom of Tonga today to celebrate the completion of the Tonga Hawaiki Cable Branch System, the country’s second international undersea cable.
- SubTel Forum: The first edition profiles 50 cable ships and subsea support vessels operating across the submarine telecommunications industry.