SJC2が全区間商用化、初代の4.5倍・126Tbps
2025年、全長1万500kmのアジア海底ケーブル「SJC2」が全区間で商用運用に入った。設計容量126Tbpsは初代SJC(2013年開通・28Tbps)の約4.5倍にあたり、日本・韓国・中国・香港・台湾・シンガポールの6か国・地域を単一の物理インフラで結ぶ。
## 丸山を起点に6か国・1万500kmをつなぐルート
SJC2の日本側陸揚げ局は丸山。そこから韓国・中国・香港・台湾を経てシンガポールに至る全長約1万500kmを、8本のファイバーペアが走る。各陸揚げ局で地域の光ファイバー網と直結することで、国をまたいだ通信がほぼリアルタイムに完結する。海底ケーブルは目に見えないが、アジア域内インターネットの大部分を担う文字通りの大動脈だ。
## 年40%超のトラフィック急増が旧SJCを追い詰めた
初代SJCが開通した2013年当時、28Tbpsは過剰設備に映った。だが、スマートフォンの普及、4K動画配信の標準化、生成AI向けデータセンター間通信の爆発的増加がその前提を粉砕した。アジア域内のデータトラフィックは年率40%超で成長を続けており、既存インフラの逼迫は避けられない状況だった。SJC2はその需要増に正面から応えるために設計された次世代インフラである。
## 4K動画500万チャンネル分が同時に流れる帯域
126Tbpsとは、4K動画を同時に約500万チャンネル配信できる帯域量だ。この数字が示すのは単なる速度の向上ではなく、地域内の通信コスト構造が根本から変わる可能性でもある。物理構成も冗長性を重視している。8ファイバーペアのうち1本に障害が生じても残る7ペアで通信を維持できる設計で、ケーブル切断リスクが高い浅海域での信頼性に直接貢献する。
## KDDI・中国移動らが組むコンソーシアムの構造
SJC2はKDDI、China Mobile、SK Broadbandを含む複数キャリアのコンソーシアムが建設・運営する。各社がファイバーペアの容量を分担し、自社ネットワークの延長として活用する仕組みだ。海底ケーブル1本の建設費は規模・距離によって1,000億円を超えることもある。コンソーシアム方式はその巨額投資を分散させる手段だが、参加社が増えるほど設備増強や保守契約の意思決定に時間がかかる——この構造的なトレードオフはコンソーシアム型インフラの宿命でもある。
## 2050年代まで使う設計寿命と波長多重技術の鍵
海底ケーブルの設計寿命は通常25年前後。SJC2が2050年代まで稼働するとすれば、その間の技術変化に柔軟に対応できるかどうかが問われる。物理ケーブルを敷設し直すことなく実効容量を段階的に引き上げられる波長多重(DWDM)技術の進化が、長期的な性能維持の核心だ。2013年から2025年の間に世界の通信需要がどれほど変化したかを考えれば、次の25年に何が起きるかは誰にも断言できない。コンソーシアム参加各社が技術更新に足並みをそろえ続けられるかが、SJC2の真の耐用寿命を決める。
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出典
- TeleGeography Submarine Cable Map: SJC2 の技術仕様とルート情報