Google Topaz、SDM初採用で太平洋横断

Google Topaz、SDM初採用で太平洋横断

まず読む基礎解説

2026年中の完成を目指すGoogle「Topaz」は、商用海底ケーブルとして世界初となる空間分割多重化(SDM)技術を本格採用し、日本(三重県志摩)・グアム・オーストラリア(シドニー)を結ぶ約9,500kmのルートで建設が進んでいる。施工はNECが担当する。 ## 1本のファイバーに4コア:SDMが変える海底ケーブルの常識 従来の海底ケーブルは「シングルコアファイバー」が標準だった。1本の光ファイバーに1つの光路(コア)しか持たない構造のため、容量を増やすにはファイバーペアの本数を増やすか、波長多重(WDM)の密度を限界まで高めるしかなかった。 SDMはこの前提を覆す。1本のファイバーの中に複数のコアを持たせることで、ファイバーあたりの伝送容量を飛躍的に引き上げる技術だ。Topazは4コアのマルチコアファイバーを採用しており、従来のシングルコアファイバーと比較してファイバー1本あたりの容量は約4倍になる。この技術はNECが独自に開発したものだ。 ## AIが牽引する年率30%超の通信需要 Googleがなぜ今SDMに踏み込むのか。背景にあるのは、AIワークロードの急膨張だ。 データセンター間の通信需要は年率30%以上で増加しており、従来技術の延長線上では近い将来、光の物理的な限界であるシャノン限界に到達することが見込まれている。WDMによる波長の多重化は既に高密度化の壁に近づきつつあり、ファイバーの空間次元を活用するSDMが現実解として浮上した形だ。 Googleは現在、20本以上の海底ケーブルプロジェクトに出資または単独保有している。Topaz、North Pacific Connect、Proaと太平洋だけでも複数の計画が走り、自社クラウド(Google Cloud)・YouTube・Gmailを支えるインフラ投資はとどまるところを知らない。 ## 三重県志摩からシドニーへ:9,500kmの戦略ルート ルートは日本の三重県志摩を起点に、グアムを中継してオーストラリアのシドニーへ至る。総延長は約9,500kmだ。 グアムの選択には軍事・地政学的な意味合いもある。米軍の主要基地が置かれるグアムは、太平洋における通信ハブとして機能しており、紅海やマラッカ海峡を通るルートの代替として価値が高い。近年、紅海でのケーブル切断事故やスパイ行為への懸念が重なり、リスク分散の観点から太平洋ルートへの需要は高まっている。 ## 2026年運用開始がアジア太平洋にもたらす変化 Topazが完成すれば、日本とオーストラリア間の通信容量は大幅に拡充される。両国のデータセンター間の低遅延接続が強化されることで、クラウドサービスの品質向上はもちろん、AIモデルの分散学習や大規模推論処理の効率化にも直結する。 商用ケーブルへのSDM初採用という事実は、業界標準の転換点となりうる。Topazの成否が、今後の海底ケーブル設計の方向性を左右するのは間違いない。

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出典

SDMGoogle太平洋横断NECマルチコアファイバー海底ケーブル技術