Google「North Pacific Connect」— Proa・Taiheiで日本-グアム-ハワイを直結
まず読む基礎解説
Google は 2024 年、北太平洋地域の通信インフラを強化する 「North Pacific Connect」 構想を発表した。NEC との協業により、Proa(日本-グアム)と Taihei(日本-ハワイ)の 2 本の海底ケーブルを建設する。推定投資額は 10 億ドル(約 1,500 億円)規模。
Proa: 太平洋島嶼部の接続改善
Proa は茨城県高萩からサイパン(北マリアナ諸島)を経てグアムに至る約 2,700km のケーブルだ。
- ファイバーペア: 16 ペア
- 容量: 25Tbps 以上
- 運用開始予定: 2026 年
- 陸揚げ地点: 高萩(日本)、サイパン、グアム
数字だけ見ると JUNO(350Tbps)や Topaz(240Tbps)に比べて小規模に見える。だが Proa の真の意義は容量ではなく 接続の提供 にある。
太平洋島嶼部(サイパン、グアム、パラオ等)はこれまで限られた通信容量しか持たなかった。グアムは米軍の戦略拠点でもあり、通信インフラの強化は安全保障上の意味も持つ。Proa は トンガのケーブル切断事件を教訓に、太平洋島嶼部のデジタルデバイド解消と通信冗長性の向上を目指すプロジェクトだ。
Taihei: AI 時代の大容量ルート
Taihei(太平)は千葉県千倉からハワイまでを結ぶ約 6,200km のケーブルで、North Pacific Connect の主力だ。
- ファイバーペア: 16 ペア
- 容量: 304Tbps
- 運用開始予定: 2027 年
- 技術: 次世代SDM(空間分割多重)技術の採用を検討
ハワイは太平洋のケーブルハブとして、北米・アジア・オセアニアを接続する 「太平洋の十字路」 だ。ハワイで乗り換えることで、日本→ハワイ→米国本土、日本→ハワイ→オーストラリアなど、多方面への高速接続が実現する。
304Tbps という容量は、Google Cloud の東京リージョンと米国リージョン間のAI ワークロード(分散学習の同期、推論リクエストの分散)を想定した設計だ。
なぜ NEC との協業か
Google は海底ケーブルプロジェクトの建設パートナーとして、SubCom(米国)と NEC(日本)を使い分けている。Topaz は SubCom、North Pacific Connect は NEC が担当。
NEC を選んだ理由:
- 日本発のルート: 陸揚げ地点が茨城・千葉であり、日本国内の工事・許認可に NEC の知見が有利
- SDM 技術: NEC と NTT が共同開発するマルチコアファイバー技術を Taihei に適用する可能性
- 太平洋での実績: NEC は JUNO を含む太平洋横断ケーブルの建設実績が豊富
Google のケーブル帝国
North Pacific Connect により、Google の太平洋ケーブルネットワークはさらに充実する。
- FASTER(2016 年〜): 日本-米国、60Tbps
- Topaz(2024 年〜): 日本-カナダ、240Tbps
- Proa(2026 年予定): 日本-グアム、25Tbps+
- Taihei(2027 年予定): 日本-ハワイ、304Tbps
これに加えて Curie(米国-チリ)、Equiano(欧州-アフリカ)、Blue-Raman(インド-イタリア)など、Google は全大洋に自社ケーブルを展開している。Google は世界で 30 本以上 のケーブルに関与し、累計投資額は推定 100 億ドル超。Google は今や世界最大の海底ケーブルオーナーの一つであり、North Pacific Connect はその帝国の最新ピースだ。
日本の地理的優位性
North Pacific Connect で改めて浮き彫りになるのは、日本の地理的優位性だ。日本は太平洋の西端に位置し、北米・東南アジア・オセアニアの結節点として機能する。Google が Proa と Taihei の両方を日本から出発させたのは偶然ではない。AI 時代のデータフローのハブとして、日本の戦略的重要性は高まるばかりだ。
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出典
- Google Cloud Blog: Google North Pacific Connect の発表